レーザークリーナーとは、クリーナーの名の通り、対象物となる母材表面の汚れ(錆・油膜・塗装被膜等)の異物をレーザーを使用して除去できる機械です。
錆び取りレーザーと呼ばれたりする事もあります。
対象となる母材ごとに異なるレーザー吸収率の差を使用して、高いエネルギーを高い密度に非接触で作用させ、細かくコントロールをして限りなく母材への損傷を少なくし、除去したい異物(剥がれた錆、塗膜など)のみを蒸発させます。
その剥がれた異物に含まれているものが蒸発するだけなので、除去物質以外には何も発生しません。
レーザークリーニングのメリット・デメリット
- ブラストや薬剤を使っての作業と比べて場所を選ばず、サンドペーパー、ワイヤーブラシなどを使う場合に比べても2次的廃棄物の発生も少なく、環境に優しく、工程も短縮できて経済的にもエコな技術です。
- レーザー照射後は酸化膜が表面に形成されるために、錆に対する耐久性も増す効果が期待されます。
- 塗料・接着などの前処理として高い密着性も兼ね備えますので、建築現場などに特におすすめです。
- 消費電力が少なく、消耗品も無いので、ランニングコストを低く抑えられます。
- 作業効率が高いので従来型のクリーニング作業に比べて時間・人件費が節約され、収益率は格段に向上します
非接触だから母材へのダメージが極めて少ない
産廃量が非常に少ない
消耗品がない
高品質・長寿命
溶剤等も使わないから低ランニングコスト
場所を選ばず屋外でも使用可能
操作が簡単
複雑な形状でも錆び取りが可能
作業時間が大幅に短縮される
- 保護メガネ・保護服を着用して目や肌に当てないようにしないといけない。
(レーザークリーナー等、加工に使用されるパワーの強いレーザーは目に見えない波長の光です。それが危険かつ厄介です) - 光を使う技術の特性上、光を透過してしまう物や光を反射してしまう物には不可能です。
- 複雑な形状で光が構造上到達できない物も不可能です。
- 初期コストが化学洗浄や機械的研磨に比べて高い
他のクリーニング方法との比較
工業製品において金属材料表面の洗浄には、溶剤、水、ブラスト材、ドライアイスなどを用いた洗浄方法が多く利用されていますが、廃液などの二次廃棄物の処理が課題となっています。
これら従来の方法に代わる新たな方法として、ドライなレーザ光を利用した洗浄が注目されています。
レーザークリーナー | 化学クリーニング | 機械的研磨 | ドライアイス | 超音波 | |
クリーニング方法 | レーザー 非接触式 | 化学クリーニング材 非接触式 | 機械・サンドペーパー 接触式 | ドライアイス 非接触式 | 洗剤 接触式 |
ダメージ | 少ない | あり | あり | 少ない | 少ない |
クリーニング効率 | 高 | 低 | 低 | 中 | 中 |
消耗品 | 電源を入れるだけ | 化学洗浄剤 | サンドペーパー・砥石・オイルストーンなど | ドライアイス | 特殊クリーニング液 |
クリーニング効果 | 非常に良い 高いクリーニング性能 | 普通 不均一 | 普通 不均一 | 優秀 不均一 | 優秀 クリーニング範囲が小さい |
精度 | 正確 制御可能 | 精度は低い 制御不能 | 精度は普通 制御不能 | 精度は低い 制御不能 | クリーニング範囲を指定できない |
安全性・環境への影響 | 環境に優しい | 深刻な環境汚染 | 環境汚染 | 環境に優しい | 環境に優しい |
手動操作 | 簡単な操作 手持式・自動化 | 複雑な工程 作業員に対する要件が高い 汚染防止対策が必要 | 労働力の消耗 汚染防止対策が必要 | 簡単な操作 手持式・自動化 | 操作は簡単だが手動で消耗品を操作する必要がある |
投資費用 | 初期費用が高い 消耗品がなく維持費が非常に安い | 初期費用が少ない 消耗品の費用が高い | 消耗品の初期費用と人件費が高い | 初期費用は中程度 消耗品の費用が高い | 初期費用が少ない 消耗品の費用は中程度 |
レーザークリーナーの種類
レーザークリーナーの種類は、レーザーの発振方式により、主に2種類に分けられます。
連続発振(CW発振)
CW発振は連続発振とも言われます。この方法では、レーザーの出力を一定にして連続的にレーザーを照射します。レーザークリーナーにはパルス発振方式が採用されている製品が多いです。
パルス発振
多くのレーザークリーナーがこのパルス発振を採用しています。この方法では、レーザー出力の波形を制御できます。そのため、連続発振と比べて、レーザーのピークパワーを調整することが可能です。
業界別適用例
板金業界溶接熱による溶接焼けの除去建設業界
- 塗装膜の除去(アスベスト入りも)
- 鉄筋等のサビ取り
自動車業界
- 車体底や駆動系のサビ取り
- エンジン廻りの付着物の除去
- 車体等の塗装膜の除去
鉄道車両検査における溶接部のサビ、塗膜の除去船舶業界船外機、エンジン廻り、シャフト、スクリューなどのサビや付着物の除去金型業界モールドのサビ取り、ガス焼け及び付着物の除去重工業業界タービンブレードの酸化物の除去